2026/07/29
今は コスパや タイパ が正義のように語られる時代。
「無駄を削ぎ落として、最短距離で結果を出すことが賢い」
そんな空気が、どこへ行っても当たり前になってきました。
でも、本当にそれだけでいいのでしょうか?
ボクはむしろ、
「割に合わないことを通った時間こそ、人を豊かにする」
そう思っています。
SNSで失敗談を調べて上手に避け、
レストランのレビューで安全な選択肢だけを選び、
心配しないように 最短ルートばかりを求める。
その結果、同じような経験しかしていない、
平板な人生を歩みたがる人が、どんどん増えている気がするんです。
昔々、情熱弁当のホームページに
ある20代女性からメールが届きました。
「自然栽培の野菜で、お弁当屋さんを始めたいんです!」
前向きな内容かと思いきや、
メール本文は 原稿用紙数枚レベルの30質問リスト。
1ヶ月の売上はいくらか、開店時からの全データがほしい
日販を曜日別に過去1年分教えて
全商品の売上順を教えて
一番人気メニューは何か。順位別に教えて
インスタとFacebook、アメブロのどれが集客できるか
SNSの月間プレビュー数は?
などなど、店にまつわる数字を根こそぎ教えてくださいという要求。
しかも最後には、
「アルバイトが忙しいので、メールでご返信ください」
と書かれていた。
彼女はボクの知人でもお客さまでもない。
まったくの他人です。
読んだ瞬間、思いました。
「これが他人に対するお願いの仕方なの?」
本来なら、関東からでも「10分だけお話聞かせてください」とお弁当の予約して訪ねてくるとか、せめて自分の足で取りにいく姿勢があるはずです。
その礼節すら持てない人が、
果たしてお客さまには気を使えるのだろうか?
おそらく難しいでしょう。
ボクの返信は一行だけでした。
「お答えできることがありません。」
失敗しない人生は、成長しない人生
あれもやりたい、これもやりたい。
意欲があるのは良いことです。
でも、失敗を避けて 「最短で成功したい」というのは、絶対に無理。
料理も同じです。
失敗したからこそ学べる。
原因を考えるからこそ、改善に辿りつける。
ロジカルに積み重ねるというのは、
「傷つかずに進むこと」ではなく
「傷ついた経験を、次に活かすこと」なんです。
その回り道こそが、
人間を厚みのある存在にしてくれる。
だからボクはやっぱり思うんです。
割に合わないことから逃げない人だけが、本当に強くなれる。
遠回りの中に、人は育つ
面倒で、遠回りで、割に合わないことは敬遠されがちです。
でも、人が成長するのは
いつだって余白と非効率の中から。
失敗して、悔しくて、
思うようにいかなくてうなだれる夜こそ、
次の自分への確かな種になっていく。
料理も人生も同じです。
面倒くさい工程の積み重ねが、
一つのお弁当の奥行きになるように。
割に合わない努力の積み重ねが、
人間の厚みや優しさをつくっていく。
だから、ボクはこれからも
最短距離よりも、丁寧な遠回りを選びたい。
たとえ時間がかかっても、
たとえ効率が悪くても、
その先にいるお客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら。
そして、読んでくださるあなたが、
もしも今、割に合わない道の途中にいるのなら
どうか自信を持って進んでください。
その道こそが、
あなただけの味になるから♪